父子男色酒蔵

父子男色酒蔵

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老舗の酒蔵を舞台に、屈強な男たちだけで行われる酒造りと跡継ぎをめぐる人間模様。やがて父と子の隠された秘密が明らかになり……。 【あらすじ】 滋賀の近江に蔵を構える「岡田酒造」は、江戸時代から続く厳格な伝統にならい、女人禁制の男衆だけで粛々と酒造りを続けている老舗の造り酒屋である。 仕込みから初搾りまで半年以上に及ぶ、寝食一緒の共同生活で最も大事なのが杜氏や蔵人ら男たちの絆であり、そのためなら肉体の奉仕や繋がりは当たり前……。 そんな岡田酒造である日、仕込みの真っ最中に一人の蔵人が里に帰らざるを得なくなるという事態が発生……。急きょ、現在の十一代目蔵元の一人息子であり、5年前に仲たがいして兵庫の灘にある「北灘酒造」で働いている跡取を連れ戻す決心をする。 そのためには、北灘の屈強な男たちに己の肉体を差し出すという大きな代償が必要だった。 <本文から抜粋> 床もみとは、蒸した米をテーブル状の台の上に拡げ、全身を使ってひたすら素手で揉み込む、酒造り最初の行程である。 その作業をするときの慣わしとして、今、太一が身にまとっているのは、白い六尺褌ひとつと、襟に『岡田酒造』、背中に『男水』と染抜きされた藍色の印半纏だけだ。真冬だと言うのに、既に熱気でじっとりと汗ばんだ色黒の半裸は、一切の緩みなく引き締まり、筋肉が隆々と厚みを持って盛り上がっている。 それは酒造りというものが、いかに過酷な肉体労働であるかの証である。 六十キロある重い米俵を一人担いで運搬するため、体幹はみっちりと肉付きを増し、蒸米を揉んだり酒母をかき回したりする作業で、手脚は否応なく太く硬く鍛え上げられる。そんな風に仕事で形作られる筋肉は、そこらにいる並みのスポーツ選手の比ではなかった。みな、こざっぱりした坊主か短髪に、さらに蔵の中では常に手拭いを頭に巻き、険しい表情を崩さず作業に没頭する姿からは、凛々しいほどの野郎臭さが漂ってくるのである。 *** ■初出:『G-men 232号(2015年7月号)』掲載作『男の水』を改題加筆修正。 ■総文字数約30000字。

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